交渉は、利害が対立する人同士が、それぞれの主張を通すために行うものです。
そのため、交渉の経験があまりない人は、当事者同士で激しい言葉の応酬、言い争いがあると思われていることが多いようです。
しかし、私たち弁護士が、そのように激しく言い争うことは多くありません。
もちろん、そのようなケースもあるのですが、数としては少ないと言えるでしょう。
なぜかというと、交渉において激しい言葉の応酬をする必要がないためです。
交渉というのは、まとまらなければ意味がありません。
交渉がまとまる、というのは、双方が合意をする、ということであり、それはケンカのように、一方が勝ち、他方が敗れ去る、というものではないのです。
無用な衝突があれば、まとまるものもまとまらなくなりますので、交渉はなるべく優しい言葉で説得するのが理想的な展開です。
交渉の基本は「人」と「問題」を分離することです。
交渉が感情のぶつかり合いになるケースでは
「何だその言い方は」
「失礼じゃないか」
といった、交渉の直接的なテーマには関係がない部分が原因であることが多いのです。
相手を感情的にしないためには「人格」に言及しないことが大切です。
たいがい、交渉のテーマとなっていることは、人生においてたいして大きいものではないものです。
自分の価値観、生き方、家族等々、もっと他に大事にするものがあります。
そこには交渉の場では一切触れず、テーマのみに対象を絞ります。
そして、優しい言葉で説得する前提は、こちらの主張に聞き耳を持ってもらうこと。
そのためには、まず相手が言いたいことをすべて言い切った状態にすることが重要です。
これはいわば、優しく、言葉で説得するために必要な土壌づくりです。
おだやな表情で、全部話を聞く姿勢を見せ、相手の言葉に相槌を打ちながら耳を傾けます。
途中で自分の意見と違う部分も当然出てくるでしょうが、すぐには反論しません。
相手が言いたいことを全て言い終わったら、そこからゆっくりと
「それでは、私の話も聞いていただけるでしょうか」
と話しだします。
そこでも、主張をまくしたてるのではなく、相手が理解していることを確認しながら進めていきます。
「この点はどうお考えでしょうか」
といった質問をし、相手の答えを待ち、相手の意見を尊重する姿勢を見せれば、一方的な主張ではないということを示すことができます。
ただし、相手の言葉に聞く耳を持つことは重要ですが、対立する条件や事実関係には同意しないことも大切です。
あくまでも交渉は、「自分が最大限の利益を得る」ことが目的であって、相手の利益を満たしてあげることではありません。
そして、相手の有利になることをこちらから言わない、といった交渉の基本はしっかり押さえなくてはなりません。
自分の感情を抑え、相手の感情を無用に高ぶらせない、さらに、優しい口調の中に自分の意見を散りばめていくといった技術が必要であると思います。
「優しい言葉で相手を征服できないような人は、きついことばでも征服はできない」チェーホフ
先週は、BSーTBSの「ニュースまるわかり」という番組に生出演し、法律解説をしました。
テレビに出ると、番組の裏側がわかって面白いですね。
生出演の場合、何を質問されるかわからないので、ドキドキ感がありますが、最近はあまり緊張もしなくなってきました。
緊張するような歳じゃない、ということでしょうか。
谷原誠47歳、まだまだ頑張ります。
(*・`д・)ガンバルッス!!
今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!
では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。