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免疫と乳酸菌 飲むヨーグルトは砂糖水?

2018年08月01日

管理栄養士の菊池真由子です。

【腸内環境についての解説のため、お食事中、もしくはお食事前、お食事直後の方は、時間帯をずらしてお読みください】

今回は、免疫と乳酸菌の関係と、乳酸菌を賢く取り入れるためのプロのコツをご紹介します。

まず、免疫と乳酸菌を関係です。

免疫とは疫(えき=病気)から免(まぬか)れるという意味です。

人間の体の免疫の8割を腸が支えているとされています。

ですので、免疫のパワーを保つには腸の健康が欠かせません。

腸には、約100兆個という数の腸内細菌が住んでいます。

この腸内細菌の状態が腸内環境を左右し、腸の健康を決めていくのです。

腸内細菌はおおまかにわけて3種類あります。

善玉菌と悪玉菌、日和見菌です。

大きく作用するのは善玉菌と悪玉菌で、双方は天秤状態でバランスをとっています。

善玉菌が優勢であると腸内環境は良く、病気への抵抗力が高まります。

逆に悪玉菌が優勢であると腸内環境は悪くなり、病気になりやすく、こじらせたりします。

腸内環境は目で見ることが出来ません。

そこで、状態の善し悪しを推し量るのにうってつけなのが「うんち」です。

便通のリズムが整っており、おうど色でバナナ状の「うんち」が理想的な状態です。

逆に下痢や便秘を繰り返したりにおいがくさく感じられるようであれば腸内環境が良くないシグナルです。

腸内環境を整えるには善玉菌を増やし、優勢にさせることが一番です。

善玉菌を増やす方法はいくつかありますが、その中で最も効率が良いのが食品として口から取り入れることです。

善玉菌の代表格である乳酸菌を食べることで腸内環境を整え、免疫のシステムの乱れを正し、その能力を高めることが出来るのです。

乳酸菌を豊富に含む食品として最も有効なのがヨーグルトです。

しかし、ヨーグルトには様々な種類があります。

乳酸菌を効率よく食べるには、どのヨーグルトが良いのでしょう。

一番のお薦めは、トクホ(特定保健用食品)の認定を受けたものです。

一定の健康効果が裏打ちされているトクホの食品は乳酸菌の数が豊富です。

表記されている文言は「おなかの調子を整える」とありますが、この効果こそが腸内環境を向上させて免疫の力を押し上げるのです。

含まれている様々な菌の名前が書かれていることもありますが、それらは乳酸菌の仲間なので、どれも腸内環境を整えるために大きく貢献してくれます。

トクホ認定をうけていない通常のヨーグルトにも しっかりと乳酸菌は含まれています。

もちろん、乳酸菌の良い効果が期待できます。

トクホ認定の商品のほうが通常のものと比較すると、含まれる乳酸菌の数が多く、より健康効果が高い、ということなのです。

また、使用している乳酸菌の独自性や有用性をアピールしている商品が多くあります。

しかし、菌の種類による健康効果は研究途上です。

現段階では、菌の種類にこだわるよりも菌の量を多く食べることが健康効果が高いとされています。

ヨーグルトには500mlの大きめのパックに入ったプレーンヨーグルトのほか、一回食べきりサイズのミニカップ、果物をブレンドしたもの、低脂肪タイプなどがあります。

しかし、大半のミニカップ品、フルーツ味、低脂肪タイプは乳酸菌の数がかなり少なくなっています。

というのも、ミニカップ品は、ヨーグルトに加水し寒天やゼラチン、増粘剤などでるつんとした食感や独特のとろみを出してあるものがほとんどです。

水や果物が加わることにより、もともとのヨーグルトの量が少ないのです。

果物については、健康効果が期待出来るような量は入っていません。

低脂肪タイプは、脂肪量を低くするために本来のヨーグルトに水やヨーグルト以外の乳製品が追加してあります。

つまり、使用されている「本来のヨーグルト」量が減るので自然と含まれている乳酸菌量が減ってしまいます。

同じ商品ラインナップでも、通常のヨーグルトにはトクホマークを取得しているのに低脂肪タイプにマークがないのはこのためです。

乳酸菌が豊富なヨーグルトを使用した食品で「飲むヨーグルト」があります。

飲むヨーグルトは「飲む」という性質上通常のヨーグルトよりも粘度を下げる必要があります。このため、ヨーグルトに牛乳や水などを加えて作られています。

さらに飲みやすくするために砂糖やぶどう糖果糖液糖、人工甘味料といった甘み成分が入っています。

インド料理の飲むヨーグルトである「ラッシー」は、ヨーグルトをほぼ1/3に薄めて作っています。

つまり、飲むヨーグルトは、材料となるヨーグルトが少なめで水や牛乳、砂糖などが多くなっているのです。

このため、選び方を間違えると乳酸菌を摂取できるという健康効果が薄くなり、水と砂糖だけを飲んでいることになってしまうのです。

特に、植物性脂肪が含まれている商品は「ヨーグルトの使用量が相当少ない」と判断出来ます。

ヨーグルトを選ぶ目と同じ基準で判断していきましょう。

飲むヨーグルトにもトクホ製品があり、選ぶなら必ず表示をチェックすることがおすすめです。

トクホ製品なら、一定の乳酸菌数が保証されるので免疫に貢献できます。

このほか、オリゴ糖やビタミン類、鉄、カルシウムなどの摂取が期待できる商品があります。

オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサになるため腸内環境を良くする働きを持ちます。

乳酸菌量が少なめでも、オリゴ糖やほかの栄養成分を獲得できるメリットもあるのが飲むヨーグルトの良さですね。

ヨーグルトと同じように乳酸菌が豊富なのが乳酸菌飲料です。

これらは、ヨーグルト、飲むヨーグルトと同様トクホ商品がおすすめです。

含まれる菌数と価格が比例している傾向があるので廉価品は菌数が少なめ、と考えても良いでしょう。

飲むヨーグルトと乳酸菌飲料は液体であるために口の中に含まれる甘み成分(砂糖など)が残りやすくなっています。

虫歯の原因になってしまいますので歯磨きを忘れないようにしてくださいね。

体に備わる免疫を高めるには腸内環境を良くするのが一番の近道です。

そのためには、日々乳酸菌を食べるのがおすすめです。

乳酸菌を豊富に含むヨーグルトは1日100g程度がおすすめです。
(丸いミニカップ1個で約70~80g)

なお、「ヨーグルトは夜に食べたほうが良い」という噂は科学的根拠がありません。

食べやすい時間帯に召し上がってください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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