「ダブルワークでうつ病 “労災1社分だけ算定は違法”と男性が国を提訴」
(2019年1月9日 毎日新聞)
労災保険の休業補償金を1社分だけの賃金に基づいて算定したのは違法だとして、契約社員として2社で働き、長時間労働でうつ病を発症した大阪府の男性(49)が国に給付決定の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。
訴状などによると、経緯は次の通り。
・2014(平成26)年2月、男性はガソリンスタンドの運営会社に契約社員として入社。
・男性は、大阪府内のスタンド2店で週6日勤務。さらに、関連会社の契約社員として同じ店舗で週2日の勤務をするようになった。
・休日はなく、夜から翌朝まで働き、2社分の仕事では150日以上の連続勤務や、1ヵ月で134時間にも及ぶ時間外労働があった。
・同年6月、男性はうつ病を発症。運営会社での長時間労働やパワハラが原因だとして、翌2015年に労災認定を受けた。
・しかし、労働基準監督署で休業補償金の算定基準となったのは運営会社の賃金だけで、関連会社分は認められなかった。
男性は、「ダブルワークは会社に言われて断れなかった。その賃金が補償されないと安心して働けない」、「ダブルワークでは両方の賃金に対して補償すべきだ」と訴えているという。
労災制度では、原則、賃金の8割分が休業補償金として支給されるが、基準となるのは病気やケガの原因となった1社分の賃金だけで、副業分は除外される仕組みになっている。