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第三者に代理を頼むとき

2016年11月21日

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交渉には、その結果に利害がある当事者がいます。
しかし、実際に交渉の席に着き、話し合いを行う人は、当事者以外の第三者であることが少なくありません。

たとえば、家族や知人などに、代わりに話し合いをしてもらうことはよく行われます。
また会社による交渉は、代表取締役自身が行うよりも、他の役員や社員に権限を与え行うことの方が多いでしょう。

そして、私たち弁護士は、依頼者の代理人となって相手と交渉にあたる専門家です。

自分で交渉するときと、第三者に交渉の実務を任せる場合とでは注意すべきことも異なります。

今回は、その場合の注意点を、弁護士の立場から考えてみたいと思います。

弁護士が交渉する際、第一に考えることは、依頼者にとって将来にわたって最もメリットがある結論を出すこと。
依頼者との打ち合わせで事実関係や要望を聞き、その要望を満たすため、どのように話し合いを進めればよいか戦略を立てていきます。

しかし、何が依頼者にとってメリットになるのかは、簡単にはわかりません。
必ずしも、打ち合わせの際に依頼者が「こうしてほしい」という主張通り行えばよい結果につながるとは限らないからです。

弁護士自身が質問しながら、どのような解決が望ましいのかを考え、提案することで、ベストな選択になります。
話をまとめたあと、依頼者から「そのようなことは望んでいなかった」と言われることを避けねばならないことはいうまでもありません。

だからといって、交渉の場で相手が出すすべての条件について、いちいち依頼者に持ち帰り確認することもできません。

事前の打ち合わせでは、依頼者がどのよう条件についてどこまでなら許せるのか、逆にどの条件は絶対に譲れないのか、どこまでは弁
護士が判断しても良いのか、ありうるケースをできる限り想定し、徹底して詰めておくことが大切です。

さて、任せる相手が弁護士であれば、交渉のプロとして、事前の打ち合わせをリードし、依頼者の本当の要望を聞き取ることができますが、交渉の実務をプロではない人に頼んだり、部下に指示したりするときに注意すべきことは、上で説明したプロセスを当事者自身が意識して踏むことです。

まず、交渉では、すべてを得られることはあり得ないことを、自分自身が理解することが大切です。

それを前提に「ここだけは確保してほしい」という部分を交渉人に明確に伝え、同時に権限をどこまで与えるか、どのような判断であれば自分で行い、どういったときに判断を留保し持ち帰るのかということもわかるようにすることが重要です。

交渉を行う第三者は、丸投げの対象ではなく、あくまで「あなた自身」です。

あなたが望んでいることがわからなければ、他人が良い交渉をするための戦略を立てることはできません。
あいまいに任せて、結果に文句を言うのではなく、自信をもって任せられる段階まで意識的にもっていくことが大切なのです。

「俺に仕事を”依頼”するのに大義名分はいらない……依頼する”本当の”理由を聞かせてくれればいい」
(ゴルゴ13)

さて、好評の2冊。

雑談が苦手な人のために。

「雑談の戦略」(大和書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/447979543X/

すでに7万部!
人を動かすのは、命令より質問です。

「『いい質問』が人を動かす」(文響社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4905073499/

【編集後記】

最近、企業研修の講師依頼が増えています。
質問力の本が売れているためです。

対人コミュニケーションにおける質問の重要性が認知されてきている、ということですね。

法律の講師ではない、というところが、少し寂しいところではありますが、世の中のためお役に立てるように頑張りたいと思います。
(*・`д・)ガンバルッス!!

今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!

では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。

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