怒りの感情は人の心をかき乱し、正常な判断を阻害したり、人間関係を破壊してしまったりといった負のパワーをもっています。
最近では、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」という言葉を聞くことも多くなりました。
私生活においてもビジネスにおいても、怒りとどのように付き合っていくかは、大きな課題のようです。
ビジネスでは、ほとんどの場面で、理性的な判断が必要です。
したがって、怒りは可能な限り鎮めたほうが良いことになります。
ところで、私は、他の人に比べると、人に対してあまり怒りを感じることがないと思います。
弁護士は職業的に、常に怒っている人と対峙します。
それに感染し、自分も怒っていては仕事になりません。
冷静に「なぜこの人が怒っているのか」を分析する習慣が身に付いたことで、自分では簡単に怒らなくなったのだと思います。
その立場からアドバイスすると、怒りを感じた時にまず必要なことは、その怒りの対象が何であるのかを考えることだと思います。
多くの怒りは、誰か他人に向いています。
仕事では、上司や部下、取引先などが考えられるでしょう。
そして、他人に対する怒りがなぜ起こるかというと、その人に「こうしてほしい」「こうしてくれるはずだ」「こうすべきだ」という期待があるから。期待に反するふるまいをされた時に、怒りが沸くのです。
怒りを鎮めるには、この期待を解除することです。
期待が裏切られ、怒りを感じているとき、自分が正しく、裏切った相手が間違っていると思っています。
しかし、自分の期待と異なる言動をした相手の頭の中には、まったくちがう価値観があります。
自分へ全く異なる期待を持っている可能性も高いでしょう。
人に怒りを感じた時は、この人はなぜそんなことを言ったのだろう、なぜそんなことをしたのだろう、と相手の頭の中をできる限り思い描くことです。
なんとなくであっても、相手の頭の中をイメージできると、怒りはある程度静まります。
また、怒ったところで解決にはならないことに気づき、相手との認識の差を埋める、問題解決のための行動につながります。
たとえば、貧乏から抜け出して事業を成功させた人のエピソードを読むと、根底に、怒りがあることが多くあります。
なかには、貧乏であるがゆえに、幼い頃屈辱的な思いをした具体的な記憶を、生々しく持ち続けていることもあります。
その人も、最初は、その屈辱を与えた他人へ向けた怒りがあったかもしれません。
しかし、その怒りを、おそらく、自分に対する怒りに変えたのだと思います。
そして、怒りの矛先を転換するのです。
「ちくしょう。絶対に貧乏から抜け出してやる」
「自分の家族には絶対こんな屈辱は味あわせないぞ!」
と、未来に向けた怒りのパワーに転換させるのです。
他人や環境は自分ではコントロールできません。
正確には、自分で何の行動もせずに他人や環境を変えることはできません。
人のせいにしたり、社会のせいにしたりしている限り、自らの行動にはつながりません。
他者への怒りを、うまく自分への怒りに転換することで、爆発的なパワーの矛先が、成功に向けたものに変わります。
自分でもおののいてしまうような、ぶつけどころのない巨大な怒りが沸いたその時こそ、仕事で飛躍するチャンスなのかもしれません。
「然るべきことがらについて、然るべきひとびとに対して、そしてまた然るべき仕方において、然るべきときに、然るべき間だけ怒る人は賞賛される」
(アリストテレス)
さて、好評の2冊。
雑談が苦手な人のために。
「雑談の戦略」(大和書房)
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すでに7万部!
人を動かすのは、命令より質問です。
「『いい質問』が人を動かす」(文響社)
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最近、以前より集中力が続かなくなってきたように感じます。
世の中の変化が激しく、スマホが発達し、テレビでも、視聴者の注意を引き続けるようめまぐるしい工夫がされています。
そのせいもあるのではないか、と思います。
何もなかった時代は、一つのことをじっくりとゆっくりと考え続けることができたでしょう。
というか、他にやることがなかったのかもしれませんが。
持続する集中力を取り戻すため、外的刺激のない時間を作り、一つのことに集中する、という習慣を作った方がよいかもしれません。
気づきがあったら、また報告します。
今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!
では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。