ピンチ

「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」という言葉があります。

そして、自分の経験に照らしてみると、その言葉は真実だと思います。

私には、苦しい状況で引き受けた仕事が、その後のステップアップの大きなきっかけになった経験がいくつかあるからです。

今回はそのエピソードを紹介します。

私は25歳で弁護士になり、ある法律事務所に勤務しました。その事務所で過ごした20代後半は、今から考えても激務でした。

事務所に寝袋を持ち込み、自宅に帰れない日々が続きました。

そんなある日、私に舞い込んだのが、出版社からの本の執筆依頼。
手形・小切手をテーマとした実務書の著者となることでした。

以前から「いつか本を書いてみたい」という気持ちはありましたが、依頼を受けたのは初めてのこと。

当時は本の著者のステータスが今よりもずっと高く「書きたい」という気持ちが沸き上がりました。

しかし、当時は目の前の仕事をこなすだけで身動きができない状態です。
経験もない書籍執筆を並行して行うのは、どう考えても不可能に思えました。

大げさではなく、この状態で仕事を増やせば過労で倒れるかもしれないと思ったほどです。

「今、この機会を逃すと、次があるかどうかわからない」。
私は葛藤の末、無理やりその仕事を引き受けました。

それからは予想通り、否、予想以上の忙しさになりましたが、本業をおろそかにしないようにしつつ、なんとか原稿を書き上げたのでした。

本を一冊出すと、書くことに自信が付きます。

2冊目は自分で企画書を作り、交渉術のテーマで執筆し、その後は、様々なテーマでほかの出版社から声がかかるようになりました。

現在、初の著書から20年あまりで、30冊以上の本を出しています。
あの時依頼を断っていたら、今そのような活動ができていなかったでしょう。

あのピンチは、大きなチャンスであったのです。

もうひとつ、私の弁護士として珍しい活動としてテレビ出演があります。

年間10回以上はテレビのニュースや情報提供番組から声がかかり、法律専門家として出演しています。

はじめてテレビに出た際にも、忘れられない思い出があります。
もう十数年前の話。

テレビ局から出演依頼があったのは、当時猛威を振るっていた「ヤミ金」の特集でした。

しかし、それは皆様が「弁護士のテレビ出演」と聞いておそらくイメージされる、法律関係のコメントする役割ではありませんでした。

テレビ局の方に聞くと、私に声をかけた理由はほかでもなく、他の弁護士に断られたから。

借金問題を専門とする弁護士にあらかた断られ、弁護士会に紹介を頼んだものの、手を挙げてくれる人が見つからなかったといいます。

出演者が見つからないことには、理由があります。

それは、その企画が「多重債務者と一緒に、ヤミ金の事務所に乗り込み、『払いません』と宣言する」という、今考えてもかなり無茶なものだったのです。

当時のヤミ金は、暴力団がやっている、と思われていたので、暴力団事務所に乗り込むような感覚だったと思います。

道理で誰もやらないはずです。

弁護士は確かに借金問題に関わることはありますが、警察ではありませんから、ヤミ金事務所にいきなり踏み込むようなことはほとんどしません。

「それは弁護士の仕事ではない」と言って断ることはできましたし、むしろやらない理由はいくらでも思いつきました。

しかし、経験のないテレビの仕事。
めったにない機会であることは間違いありません。
私は勇気を出してOKを出しました。

当日も、正直に言うとものすごく怖く、想定外の事態の連続でしたが、なんとか収録を終えました。

その企画は放送後かなり反響があったようで、あちこちで声をかけられました。
また、テレビ局関係者から、さらにテレビ出演の依頼が来るようになりました。

今は安全な専門家としてのコメントが多いですが。

「これ以上仕事は増やせない」
「弁護士はこのような仕事はしない」

という基準は、無意識に作り上げた自分の枠です。

私たちは、知らず知らずのうちに枠を作り上げています。

無理だと思ったことにあえてチャレンジすることによって、その枠を踏み越えることができます。
そして、枠を越えると、目の前には違った景色が広がっています。

「チャンスがピンチの顔をしてやってくる」のは、今の自分の枠の外側のことなので、チャンスをチャンスとして認識できないからではないでしょうか。

自分がピンチにあると思える状況は、自分の枠を打ち壊す絶好の機会であり、自分を成長させる絶好の機会だと思います。

「いかなる問題も、それをつくりだしたときと同じ意識によって解決することはできない。」(アインシュタイン)

【編集後記】

相変わらず東京は暑いです。
少し外を歩くだけで汗が噴き出してきます。

夏バテしないように、睡眠をしっかり取らないといけないわけですが、必要な睡眠時間は人それぞれ。

一般論として、「7時間は必要だ」「いや8時間だ」などと言われていますが、睡眠の質もあると思うので、万人には通用しないと思います。

私の知り合いは、1日3時間眠ると、目が覚めてしまい、その後は眠れない、ということです。

私は時期によって必要な睡眠時間が違うようです。
5時間くらいで目が覚める時期が続くこともあれば、7時間眠らないと眠い、という時期が続くこともあります。

しっかり睡眠をとって、夏バテせず、仕事に集中していきたいと思います。
(*・`д・)ガンバルッス!!

今日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
そして、また次回もぜひ読んでください!

では、あなたに健康と幸せが訪れますように祈っています。

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